9月14日
2005-09-15


 献辞。S氏へ。生物学ネタを「もっとやれ」と推奨して下さるのは、貴方くらいです。私の知識なんていーかげんもいいところですが、及ぶ限りは応えていきたいなと。
 宿題はとっとと片付けよう。本日のお題はリクエストにお答えして「スズメバチ」。色々と興味深い生き物だけど、とりあえずは広く浅く紹介していきましょう。本格的にやったら滅茶苦茶な分量になる。
 スズメバチの仲間ってのは、実質昆虫界最強の存在である。毒針があるので単体としても相当強力な上、集団戦法を使ってくるからね。哺乳類のような大きな生き物でさえも、滅多に手出しをしない。身にまとう警戒色は伊達ではない。
 とはいえ、クマぐらいになると「非常時には巣を襲う」らしい。蜂の巣ってのはタンパク質満載した「オシシイ」獲物だからね。直接襲ってるところが確認されたワケじゃないようだけど、ある実験結果から推定されてる。スズメバチってのは、クマと似た色のモノが近寄ってくると攻撃的になるのだ。黒い髪の毛ってのはクマと誤解されやすい。茶髪じゃない日本人は要注意だね。
 スズメバチの針ってのは、ミツバチと違って再利用可能である。ミツバチと違って獲物取るときにも使うわけだから、当然と言えば当然かな。おまけにアゴも強力。さらに性質は凶暴で、巣に近寄ると見境無く攻撃してくる。ある意味嫌われるのも仕方ない生き物だ。
 スズメバチの毒針ってどれぐらい威力があるのか?かなり厄介である。特にヤバいのはタンパク質分解毒があることかな。このおかげで皮膚だの筋肉だのが溶けてしまうのだ。量としては大したことがないので死ぬことはないだろうけど、傷が長持ちしちゃう。アンモニアつければ大丈夫…なんて甘い認識は持たない方がいい。
 とはいえ、フツーならば人間が死ぬことはない。致死性があるってワケじゃないので、相当大量に注入されても大丈夫だと思う。ただ、激しい痛みによるショックは強烈なので、心臓ヤワだと心停止しかねない。また過去にも蜂に刺された経験があると、アレルギー反応起こして危険なことがある。アナフィキラシーって奴だね。「蜂に刺されて死亡」ってのは、このどちらかに該当する。毒蛇に比べれば生命の危険は低いだろうけど、やはり危険なことに代わりはない。
 野生じゃケンカ売る馬鹿があまりいないので、スズメバチの仲間は猛烈に気が強い。あまり人間を恐れず、人間の近くに平然と巣を作る。もちろん近寄ってくれば追い払うだけ。これが人間に恐れられる理由の1つだね。ただ、害虫のたぐいを片っ端から捕らえて食っちゃうので、付き合い方を間違えなければ役に立つ存在でもある。それと、一部で食べてる「蜂の子」ってのはクロスズメバチの幼虫のこと。こんあものまで食うとは、人間って食い意地張ってますなあ。
 スズメバチを最も嫌ってるのは、養蜂家の人である。スズメバチから見たミツバチは「ご馳走」以外の何者でもないからね。特に被害甚大なのはオオスズメバチ。他のスズメバチはせいぜい「巣から出た奴を片っ端から捕まえる」ぐらいだけど、こいつはミツバチの巣に襲撃かけるからね。この襲撃は、まずオオスズメバチの勝利で終わる。襲撃と言うよりは虐殺に近い。

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