養蜂家が使っているミツバチってのは、実は外来種である。こいつらはオオスズメバチに全く抵抗できない。野生状態じゃ繁殖できねえって言われるほど脆い。それに対し、日本にいる野生のミツバチはオオスズメバチに対して抵抗能力がある。そりゃあタイマンだと全く勝ち目はないけど、工夫された集団戦法を駆使することにより、かなり戦えるのだ。ところがこいつら、オオスズメバチがいない環境ではセイヨウミツバチに勝てない。ここにビミョーなバランスが形成されているんだな。生存競争ってのは面白いものである。
ハチのたぐいが社会生活を営んでいるのは何故か?これはまだ謎も多いんだけど、染色体の構造が影響してるんじゃねえかって説が有力。人間を含む「よくある生き物」ってのは、染色体を2本だけ持っている。X染色体とY染色体って奴だね。これに対し、ハチのたぐいは最大4本の染色体がある。ここに社会生活の秘密があるのでは?ってことだね。
こういう生き物は、オスには染色体が2本だけ、メスには染色体が4本ある。そして無性生殖でオスが生まれ、有性生殖でメスが生まれる。複雑だねえ。この結果、「遺伝子の共通度」で考えれば自分の子供より姉妹の方が「血が濃い」という性質がある。遺伝子レベルで考えた場合、子供育てるより妹育てた方が繁栄するってコトだね。これは「利己的な遺伝子」って考えの基礎となっている。
最後に、スズメハチの進化について語ろう。その昔、ハチの仲間は植物の幹だの葉だのに卵を産む草食動物だった。それが「肉食の方が効率がいい」ってんでアオムシだの何だのに卵を産む寄生バチが誕生し、そこから獲物捕まえて貯蔵しておくカリバチが生じた。これが社会性を身につけてスズメバチのたぐいになったんだな。ちなみに、そこから進化して再び草食に転じたのがミツバチじゃねえかって言われている。比較的新しい生き物で、社会性のあるハチが生じたのは恐竜絶滅後らしい。ただ、昆虫ってのは進化が猛烈に早く、化石にもなりにくいので進化体系は謎だらけ。これからの研究が望まれますね。
スズメバチってのは、「身近にいる危険な生物」である。死に至ることはさすがに希だけど、人間相手にシャレじゃ済まない危害を与えうる存在だ。これはスズメバチが「優秀な戦闘機械」だという証拠だね。興味深いし学ぶことも多いけど、観察は慎重に。
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