10月20日
2009-10-21


 諸般の事情により、今回はものすごーく軽いネタで。「2=1」。ネット上で見かけたアホネタの説明と簡単な解説を。
 とりあえずはこちらのリンクを参照して下さい。アホな数式が掲載されていて、「2=1」だと「証明」している。一応ここでも数式は書いておこう。なお、「aの二乗」はa`2と表記します。
a = b
a`2 = ab
a`2-b`2 = ab-b`2
(a+b)(a-b) = b(a-b)  
a+b = b 
2b = b
2 = 1
 一見すると、なんか2=1を証明しているように見える。でも、実際は2=1ではあり得ない。これを認めると「全ての数は1に等しい」ことが証明でき、ついでに「あらゆる命題は真であり偽でもある」という、ワケわからん状態を認めることになる。つまり、この数式はどこかに間違いもしくはインチキがある。それはすぐわかると思う。でも、それがどこなのかはちょっとわかりにくい。
 実はこの数式、結構有名なモノだと思う。私は以前見た記憶があるからね。種明かしをすると、この数式は数学における禁止事項、すなわち「ゼロで割る」をやらかしている。どんな数であれ、ゼロを掛けてゼロで割ればイコールになるから、2=1を証明できるわけ。ただまあ、単純にゼロを掛けてゼロで割るとバレるので、うまく誤魔化してあるわけだ。
 ドコで「ゼロで割って」いるのかって?4つ目の式から5つ目の式に移行する時、すなわち両辺を「a−b」で割っている時にやらかしている。a=bだから、a−b=ゼロ。この式は実は3つ目の時点で「要は0=0」になっているので、それをゼロで割って…ってな操作をやらかせば2=1が証明できちゃう。
 タネを明かされれば「なーんだ」で終わりだけど、ぱっと見ただけでは問題なさそうに見える、良くできた「アホな式」だ。高校程度で数学に挫折した奴(私もそうです)程度なら、かなり長い時間「ドコがオカシイのか」悩ませることが可能じゃないかなあ。私がこの式を覚えているのは、かな〜り時間をかけて「ドコがオカシイのか」検討した記憶が残っているからだ(苦笑)。
 ただ…面白いことに、「数学的に2=1と証明されることはあり得ない」と断言することはできない。それは未来永劫無理だっていう証明があるから。「おそらく、2=1って証明はできないんじゃないかなあ」と言うことは出来ても、「あり得ないことだから安心しろ」とは言えないのだ。ゲーデルの不確定性原理ってものがあり、それにより「どう頑張っても、そういう証明は出来ない」ことがわかっているので。
 ちなみに、私は「数学的に間違っていないやり方で、1=2を証明できてしまうんでないか」という妄想を抱いていたりする。ただこれは、カントールって数学者が切り開いた「無限の取り扱い方」に関する部分であり、要は「選択公理」(ウィキペディアのリンクはこちら)はオカシイんじゃ…って世界の話。「選択公理はオカシイ!」って主張している奴は、数学者の中でも(少数派ではあるんだけど)いるので、これは妄想ではないかもしれない。ただまあ、おそらくは「選択公理を認める多数派の数学者の中では、とっくに解決済み」の話だとは思うけど。

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