ダービーの枠順が発表になった。うわあ、ヴィクトリーがまた8枠17番かよ…皐月賞と同じ枠順じゃん。これは、どう考えても怪しいサインなんですけど。私だけがこの情報でシビれているのは納得がいかないので、競馬わからない人にも説明しちゃる。
その昔々…ってほど古い話じゃないけど、サニーブライアンって馬がいた。皐月賞で大激走ぶっこいて、人気無いのに勝利した馬だ。この時の枠順は8枠18番。そんでもって、ダービーの時も8枠18番。ちなみに、この年のダービー馬である。
単にこれだけなら、「縁起が良いねえ」で終わりかも知れない。サニーブライアンの父は、ヴィクトリーと同じブライアンズタイム。両方とも「人気無いのに皐月賞を逃げて勝った馬」である。ね、なんか騙されそうになるでしょ(笑)。
さらに言うなら、「ダービーを逃げ切りたければ、外枠が良い」って話がある。サニーブライアンの鞍上は、大外枠引いてガッツポーズしたって伝説があるからねえ。普通外枠は(コーナーとの関係で)前に行く馬には厳しいんだけど、府中2400は最初のコーナーが遠い関係上、それはさほど問題にならない。それよりは包まれない(逃げ馬は大抵性格に難があり、周囲に馬がいるのをいやがる)ことが大きいってことだね。
ここまで揃った以上、歴史は繰り返すのか…うーん、どうだろ。一番の違いは、やはり鞍上ではないかと。サニーブライアンの鞍上は大西だったけど、ヴィクトリーの鞍上は勝春だからねえ(笑)。でも、この差は無視できないと思うんだよな。真面目な話。
いや、別に大西の方が勝春より上手いなどと言うつもりは…言いたいけど(苦笑)。そゆーことではなく、「覚悟」が違うと思うんだな。あの時の大西にあって勝春にないものはこれでしょ。そして、これは勝負を分ける重要な要素になりかねないんだよね。
サニーブライアンで皐月賞を勝つ前、大西のケツには火がついていた。それまでもビミョーな位置にいたジョッキーだったけど、あの年は特にそんな感じが漂っていた。下手するとこのままフェードアウト、そうでなくとも近いうちに…って状態だったのは間違いない。単なる1ファンの我々がそう思っていたくらいだ。本人もソレは意識してたはず。
そんなジョッキーだけに、ダービーの時は鬼気迫るものがあった。「1番人気はいらない、1着が欲しい」と発言するわ、大外枠引いてガッツポーズするわ…以前から「とにかくシャイ」ってことを知ってた私から見れば、「誰だお前」ってなぐらい。ダービー後には元に戻っていたことを考えると、相当気合い入っていたんだろうな。
単に気合い入っているだけなら、役に立つとは限らない。この年のダービーでは、そこまで気合いを入れる意味があったんだよ。それはサイレンススズカの存在だ。後に「史上最強馬」の1頭として扱われることもある、シャレにならん同型馬がいたんだよ。
サニーブライアンは、はっきり言って「とにかく逃げなきゃ駄目」な馬だった。自分のペースで走れないと、ロクなことにならない。皐月賞馬だってのにさほど人気にならなかったのは、これが全てである。逃げれば目標にされる上、凶悪な同型馬がいるので逃げられるとも限らない…これじゃ買いにくいのは当然である。
そこで大西は、「絶対逃げる、とにかく前に行く、4角先頭になる、ついでに1着でゴールする」と公言しまくった。サイレンススズカの鞍上だった上村(当時)に、「先に行くなら、一緒に最下位争いだ」ってなプレッシャーをかけたんだな。この作戦が当たったのかどうかはともかく、サイレンススズカはハナに立てず自滅したのは確かだ。
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