私的複製ってのは、「やって良い」となっている。けど、「禁じちゃイケナイ」とは一言も言ってない。諸般の事情により禁じてるモノもある。けど、「原則としてやって良いことだろ」って言われることも多い。Appleの場合、「何でiPodはOKで他は駄目なんだ」ってツッコミが入った。こりゃあ独占禁止法に引っかかるんじゃねえかと。
そこでAppleのトップであるジョブズが言ったのは、こうだ。iPod以外で再生できるようにするのは簡単だ。けど、コピーガードを「他のプレイヤーでも利用できるように」するのは問題ではないかと。そうなると秘密が緩くなるので外そうとする馬鹿が山のように現れ、そのうち安全じゃなくなる。そうなったら別のコピーガードが造られ…ってイタチゴッコになり、そのうち使い勝手に影響が出る。
そこで提案したのが「コピーガードなんてやめちまえ」である。そもそも、コピーガード付けたのはウチの都合じゃねえと。iTunesでダウンロードした音楽を他のプレイヤーで聴きたい?ああどうぞ、御勝手に。ウチは気にしないぞと。それを受けてレコード会社(EMI)が「じゃあ、コピーフリーの楽曲売ります」となったわけだ。
この件そのものの感想は、「さすが」である。「iTunesから曲買うのなら、iPodじゃなきゃ駄目」って地位を惜しげもなく放棄してるわけで。発言当初は「すぐできる対策じゃなくて、無茶な理想掲げて誤魔化してるだけ」なんて意見もあったけど、思いっきり本気だったんだなあ。この辺、「Appleのハード&ソフトは世界一」と確信してる会社だけのことはある。
複製の違法使用は大問題だ。そりゃあ認める。しかし、だからって複製そのものを禁じるべきかどうかは別問題。この辺を混同してる人は少なくないでしょ。特に日本人はこの辺の意識が甘いというか何というか…ドコまでが自分の権利で、ドコからが違法行為なのか曖昧なまま、「ホントは駄目なんだけど、みんなやってるから」で片付ける国民だからなあ。法律の専門家になれとは言わないけど、「私的複製や教育目的の複製はOK」ぐらい覚えておいて損はないと思う。そこから先?とりあえず私に聞くな。いくら私の仕事の1つに「○○先生(知的財産の専門家)、こーゆーことやって大丈夫ですか?」って確認することがあってもだ。
セコメントをする