8月31日
2006-09-01


 諸般の事情により更新が遅れてしまった…いかんねえ。ま、良くある話ではある。深く気にせずいきましょう。
 本日の話題は、「ドイツ戦車軍団」システムの分析。いやあ、尊敬する高梨先生がこのシステムで何か作るらしい…となれば、応援の意味も兼ねて少し語っておくべきかなと。それが、秘密結社サクセンQ下っ端戦闘員の務めではないかい?
 「ドイツ戦車軍団」ってゲームは、その昔エポック社から発売されていた陸戦ゲーム。入門用であり、同じシステム使った3つのゲームが入っている。このうちの1つ「ハリコフ」は、ベテランがプレイしても面白いと思う。
 システム上の最大の特徴は、「防御側が後退すると、混乱する」ってところか。単に後ろに下がるだけでなく、混乱して使い物にならなくなる。おまけに後退方向は攻撃側が決めていいので、防衛線を築くのも大変だ。その代わりと言うほどではないけど、DE(防御側全滅)が少し出にくい。
 このシステムから導き出される結論として、「攻撃してる側が有利」ってのがある。相手を攻撃し続けてる限り、敵の部隊の一部は混乱して「言うことを聞かない」状態になる。これでは、守るのも反撃するのも大変だ。
 さらに分析すると、「戦線が膠着しにくい」ってことがわかる。ほんのちょっとでも有利な側が攻撃に出た場合、優位が広がりやすいから。一度押されると、押されっぱなしになりやすいのだ。「どこかで踏みとどまって、にらみ合い」って図式にはなりにくい。
 また、実は「反撃が華麗に決まりやすい」ってこともわかる。「良くある」システムだと、一定の戦果を上げたところで攻撃側が「受け」に転じると、反撃するのは大変になる。ところがだ。このシステムでは、受けに回っていいことは少ない。だから、「最後まで攻めきるか、攻撃失敗して散るか」ってトコロまで攻撃を継続したくなる。防御側も「相手の攻めを受けきれるってコトは、反撃する余裕があるってのと同義語」なので、ハデに反撃して相手を叩きのめしやすい。このため、「派手に突進して最後まで押し切るか、猛反撃喰らって派手に散るか」って展開になりやすい。
 こうやって見てみると、「ハリコフの戦い」に向いたシステムだってコトがわかる。この戦いは、「赤軍が派手に突進して、行き詰まったところで猛反撃喰らって負けた戦い」だからね。なお、赤軍が勝つときは「とにかく攻撃し続け、最後まで押し切った」って展開になることが多い。これも「ありそうなこと」だ。
 このシステムを使って、何か他の戦いをデザインするとしたら?うーむ、私はゲームデザインの経験がないので、何とも言い難いんだけど…少し考えてみよう。まず、「戦線が膠着した戦い」は露骨に向いてない。メジャーテーマでは、「Dデイ」がそうなる。マーケットガーデン作戦も相性悪そう。空挺部隊が粘れそうもないし。さらに言うなら、キリのように「狭く鋭く」突進するってのも再現しにくそう。
 バルジの戦いは?これまた「らしくない」かなあ。バルジの戦いは「突破し続けるか、戦線が膠着するか」が楽しいのであって、ガツンと押していれば相手が下がってゆく…ってシステムでは「何かが違う」気がする。こうしてみると、このシステムは西部戦線とは相性が良くないんだな。
 ということは、相性の良い東部戦線から選ぶのが正しいのか。うーん、そんな感じ。これはこれでつまらん結論だなあ。暴論かも知れないけど、むしろ第一次大戦から選んだらいいかも。装甲部隊が出てこないけど、それはそれで処理可能なのでは。

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[赤(ボードゲームの話題)]

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