しかもだ。報道によると、「実はクニマスだった」って存在は、特別珍しいモノではなかったようなのだ。西湖にはヒメマスっていう魚が放流されていて、釣りや漁の対象になっている。そのヒメマスを狙っていると、たまに「なんか黒っぽいヒメマス」が獲れることがあるんだそうな。それが「実はクニマスだった」んだな。つまり、少なからぬ釣り人が、それと知らずにクニマスを釣り上げ、持ち帰って食っていた(ヒメマスもクニマスも美味だそうな)わけだ。私が西湖で狙ったのはヒメマスじゃないので、幸か不幸か該当しないけど。
しかもだ。ご丁寧なことに、「クニマスが富士五湖で生き延びているかも…」って話はかなりポピュラーなものだった。一応同じ富士五湖の本栖湖の方が本命視されていたけどね。ちなみにこの本栖湖、西湖同様に放流されたって記録があり、水質は似ている…どころか、本栖湖・精進湖・西湖は「地下で繋がっているんじゃ」って話まである。今回発見されたのは西湖だけど、本栖湖でも生き延びている可能性は極めて高い。いずれ調査が行われると思うな。だから、「知らなかった」なんて例ばかりじゃない。推定ではあるけど、かなりの数の釣り人が「『クニマス釣り上げたら…』ってな話を、クニマス釣り上げながらしていた」ってギャグをやらかしていたんじゃないかなあ。
むしろクニマスの場合、何で今まで再発見できなかったのかが不思議である。調査隊が派遣されたって話は聞いたことあるし、「ひょっとしてコレ、クニマスじゃね?」って騒いだ釣り師がいなかったとは思えない。発見された今だから言えるコトではあるけれど、かな〜り間の抜けた話だと言っていい。不詳この私も、ヒメマス狙ったことはないけれど、ましてや「クニマスっぽい魚を釣り上げた」経験なんぞあるわきゃないけれど、それでも気分は「間抜けの1人」だ。
「逃した魚の大きさ」は言うまでもない。「幻の魚を釣り上げた奴」なんて、釣り師にとって最上級の名誉でしょ。釣りからは引退したも同然の私だけど、それでもたまに釣り雑誌を立ち読みするし、釣具屋に足を運ぶこともある。ゼニカネ(賞金が出ていたことがある)の問題じゃない、名誉の問題ですらない。「オレが再発見した」という自己満足が得られれば、それでいい。でも、その機会は「先を越された」ため、去ってしまった…認めよう。すげー口惜しい。
その昔私がまだ釣りに出掛けていた頃、「クニマス釣り上げるってのは、オレでも出来るかもしれない『世紀の大発見』だ」と思っていた。諸般の事情(クルマ乗らないってのが主な理由かな)から釣りと縁が薄くなり、「オレでも出来るかも知れない」って部分は怪しくなっていたけれど、それでもこの夢を忘れたことはない。今回クニマス再発見の報を聞いて、1つ夢が砕け散ったような気にさせられたのは、否定できないなあ。
持っている道具も腕もさび付いている私でさえ、こうなのだ。私以上に深く「やられた!」と思った釣り人は、結構多いのでは。釣りはやらない方でも、「そういう思いを抱いた奴がいるはず」ってことは知っておいていいと思うな。ああ…久しぶりに釣りに行きたいなあ。暖かくなったらフナでも狙ってみようかなあ…
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