12月5日
2008-12-06


 おおう、ついに民間宇宙船の乗客決定か!ついにここまで来たんだねえ。しみじみ。一昨日宇宙関連について「停滞してる!」と吼えた直後だけに、こういう動きは大歓迎。つーわけで、私なりにエールを送ってみようかと。
 このエックスコア・エアロスペースの宇宙旅行、費用はなんと$95,000.-、日本円にして約890万円(円も強くなったもんだ)だそうな。これは安い。絶対値として軽々しく出せない数字ではあるけど、ソユーズ使っての旅行だと30億(円高なのでもう少し割安か?)だからねえ。ものすごーく安くなったのは間違いない。
 まあ、だからって「民間活力が…」と言うのは間違っている。ソユーズってのはスゴいんだから。40年以上前に原型が飛んだという古いロケットではあるけど、一応は「コレで月に行けるかも?」ってレベルのもの。月着陸能力を持たせるにはちょっと小さい…ってんで結局月旅行は断念されたとはいえ、月周回軌道を飛ぶぐらいなら問題なくできる。元々、民間人載せて宇宙旅行するには、無茶苦茶贅沢な品である。クルマにたとえるなら、F1マシンみたいなモノだ。そもそも、費用だけ考えたらスペースシャトルの方がもっと高くつくはず。
 それに対し、この民間宇宙船は弾道飛行するだけ。地球周回軌道に乗ることもできない。それでも宇宙旅行と言えば宇宙旅行ではあるんだけど、「宇宙を堪能する」ってレベルとは言い難いかも。無重力状態も2分しか味わえない。これだけでもスゴいんだけどね。
 弾道飛行ってのは、言ってみれば「真上に高く放り投げて、元の場所に落っこちてくる」ようなもの。これで成層圏を抜ければ、「宇宙旅行」だ。米国初の有人宇宙飛行である、マーキュリー計画の初期段階がコレを採用している。そう、民間技術はやっとこの領域にこぎつけたのだ。長かったなあ。
 ちなみに、人類初の宇宙飛行は「地球周回軌道に打ち上げる」という、もう一段上のレベルを一気に達成している。当時のソ連は、この時点で人工衛星を打ち上げるだけの技術力があったので、あえて地球周回軌道にチャレンジしたんでしょ。それに、弾道飛行が可能なら、地球周回軌道へのステップアップはさほど難しくないはず。マーキュリー計画も地球周回軌道を達成しているし。ただし、これはあくまで技術面の話。この民間宇宙船がソコまでの余力を見越した設計になっているのかは、何とも言えない。近い将来に可能ではないかと思うけど。
 なお、格安航空機で有名なヴァージンも宇宙飛行計画があり、お値段はは$200,000.-だそうな。でも、地球周回軌道で3時間の旅だとか。ガガーリンの宇宙飛行が地球1周で2時間弱だから、それより高いトコロまで打ち上げることになる。定員もエックスコアは2人(操縦士含むのかは不明)なのに対し、ヴァージンは6人。コストパフォーマンス考えたら、こちらの方がお得かもしれない。
 気になるのは、安全面か。これは…勇気が必要なレベルだと思う。ドコをどう考えても、宇宙飛行ってのは危険だからねえ。どう頑張っても「スペースシャトル並」の安全性ぐらいしか保証できない気がする。この点だけはどんなに頑張っても、山のような実績があるソユーズには遠く及ばない。最初のうちは「初期トラブル」の怖れがあるし、実績重ねてくると宇宙船劣化(費用削減のため、スペースシャトル同様使い回し前提だから)の危険性が高まる。無謀ってレベルじゃないとは思うけど、一般庶民が利用するにはまだちょっと早いかな。

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